ブックタイトル夢ぷらざ vol62
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夢ぷらざ vol62
4刈り取った羊の毛から毛糸やフェルトができるまでには、気の遠くなるような作業を繰り返します。毛の刈り取りは技術がないと羊を傷つけるためプロの協力を得ていますが、そのほかはすべて自分たちで手作業。汚れた毛を取り除く汚毛選別作業を経て、予洗い2回、そして本洗い。羊によって脂の量が異なるため、洗剤は毎回調整しています。脱水して自然乾燥した後、繊維の向きに沿って丁寧にほぐしていきますが、羊毛はとても繊細で、急な温度変化や摩擦でからみ合ってフェルト化してしまうため、作業には細心の注意が必要です。慎重に作業を繰り返して完成した原毛を、次は自然の素材で染める「草木染め」でさまざまな色に仕上げていきます。使うのは、玉ねぎやサツマイモの皮、栗のイガ、マリーゴールド、ふきの葉など。「自然のもので染めるから、2度と同じ色は出ません。季節や日当たりによっても微妙に色は変化します。その色とは一期一会。そこが難しさでもあり面白さでもあります」と話すのは、サブリーダーの鈴木さん。〝色が出ない?〝ウールが色を吸わない?など、何度も失敗を繰り返し、心が折れたことも一度や二度ではありません。「ここはずっと追求していくところなんでしょうね」とぽつり。仕上げに手作業で細かなゴミを取り除き、針布がついているブラシのようなものでほぐしながら繊維を整えて、やっと紡げる状態になるのです。山田さんが運営を、実作業を30代から70代の女性5名で担当しています。全員毛糸やフェルトを作った経験はなく、一から一緒に学んでいきました。共通しているのは「手仕事が好きなこと」。そして、「手間暇かけた本物を知ってほしい」という思い。豊栄から本物を届けたい、そんな想いが彼女たちを突き動かしていました。手作業でなければ感じられない本物の肌触りと自然素材でなければ出ない素朴な風合い完成した原毛は、単糸を2つ合わせて双糸に紡いで、毛糸を作ります。「紡いでいる時間は、自分をリセットできる貴重な時間」と鈴木さんは話します